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廿学オンラインシンポジウム ~もっと、“ちょうどいい”廿日市市にするために~


「廿日市市を、学ぶ。廿日市市で、学ぶ。」をキーワードに、自分たちが住んでいるまちのことを知り、地域への想いを持ってもらいたいという想いで廿学は始まりました。今年度最後の企画となるこの「廿学 “シンポジウム2021”」に、広島修道大学 人文学部教授の山川肖美(やまかわあゆみ)さん、中国新聞社 西広島支局長の東海右左衛門直柄(とうかいうざえもんなおつか)さんをゲストに迎え、廿学の1年間を振り返りながら、「もっと、“ちょうどいい”廿日市市にするために」をテーマに語りつくしました。


ここでは、松本太郎廿学学長(市長)の「廿学が廿日市市をもっと好きになれる場になることを願っています」との力強いメッセージで開会した120分間の様子をお届けします。



■「2020年度の廿学を振り返る」

シンポジウムの前半では、主催する廿日市市シティプロモーション室の佐藤さんと一緒に「廿学で大切にしてきたこと」をテーマに廿学の1年間を振り返りました。同室のミッションのひとつでもある「シビックプライド(地元愛)醸成の機運をつくる」ためのきっかけとして始まった廿学。「廿日市市のことに触れる身近なツールになればと思って運営してきました」と佐藤さんは言います。今年度の授業は新型コロナウィルス感染症の影響で全てオンライン開催となりましたが、廿学でお話いただいた方(先生)の商品を取り寄せてみたい、コロナが落ち着いたら現地を訪れてみたいなど、参加者のみなさんにとって廿学が次のアクションへとつながってほしいという意見も佐藤さんからありました。

「廿学のおかげで生活の中での楽しみが増えて、いろいろな場所やモノを見たときに先生の顔が浮かぶようになりました。自分とまちとの共通点(接点)が増えるって大切なんだなって」と佐藤さん。人にフォーカスし、その人の想いに触れることは廿学で大切にしてきたことの1つ。佐藤さんのお話やシンポジウム内で出てきた「人を好きになることは、まちを好きになることにつながる」という言葉に、廿学の運営に携わる私も深く共感しました。


「廿日市市を紹介するときに県外や海外の人に見てもらえる場所(サイト)にしたい(佐藤)」「中高校生とオトナの接点になったら(平尾)」「こういう思いの人たちが廿学を作っている、企画の中心にいる人たちの熱量も伝えていきたい(キムラ)」と来年度からの廿学に向けて、みなさんの思いは募ります。



■トークセッション「もっと、“ちょうどいい”廿日市市にするために」

シンポジウム後半は、ゲストの山川さんと東海さんをお招きし、廿学で開催してきた授業を「文化・歴史」「産業・経済」の分野で振り返りながら、「まちを学ぶことへの社会的な意義」とは、「廿日市市の特徴」とはどういったものなのかについて、意見が交わされました。


まずは「文化・歴史」を学ぶときに大切な視点や姿勢。歴史を学ぶとは過去の出来事を情報として詰め込むという印象を持っていましたが、山川さんからは「歴史は過去を学んでいるが、同時に未来を考えることにもつながる。歴史を知るといろんな人生に出会え、豊かな気持ちになる」や、東海さんからは「例えば時間帯によって変わる宮島の表情や、宮島の日常に住み着いている昔からの信仰や自然への崇拝などを、近くに住む私たちが学ぶことで、多様な宮島が全国に広がっていく」という意見があり、歴史を過去のものとしてだけでなく、現在や未来へとつながるものとして捉えるという視点も教えていただきました。



「『廿日市市は文化を作れるまち』だと感じています。廿日市市には文化の芽がたくさんあります」と山川さん。東海さんも共感され、各小学校にプロの演奏家を派遣する事業を例にあげながら、「廿日市市は昔からの文化もあれば、新しい文化も作っていこうと努力をしている自治体だと感じています」と言葉を添えます。「人の成長とともに育っていくまち」は山川さんの言葉ですが、それぞれのライフステージに寄り添い、また多様な文化に触れられるまちはとても魅力的に感じます。


つぎに「産業・経済」の分野へと話題は移ります。

廿日市市の産業の特徴を東海さんに伺いました。廿日市市は海から山まであるため、木工、海産物、観光など産業が幅広く、次の時代を見据えて頑張っている企業がたくさんあること、また宮島のもみじまんじゅう屋さんでは、このコロナ禍だからこそ、自分たちの強みを探求し、商品開発に力を入れているというお話がありました。廿学の授業でも「伝統や事業などを守るために新しいことをする」という言葉に触れましたが、事業が長く続くために必要な考え方の1つなのかもしれません。


またコロナ禍の状況にも触れ、「廿日市市で小さな経済を回す、ベッドダウンのイメージからリビングタウンに転換する契機に(山川)」、「身近なところをどう楽しむか、見つめなおすときに、廿学が1つのきっかけになれば(平尾)」という意見もありました。



■まとめ

シンポジウムの終わりは、廿学の今後を議論しました。「すべての人に開かれているのが『学びの場』。地域にすでに関わっている人、関わってみたいと思っている人もいれば、無関心な人たちもいます。そんなさまざまな人たちが参加できる仕組みづくりを廿学では行なっていってほしいです。また地域に関わることから個人の関わるコミュニティが増えていくことも意味があり、そのつながりをつくることも社会の財産につながると思っています」という山川さんの意見を受けて、「廿学では学びの入口から出口をどうデザインしていくかも大事な視点になりそう(平尾)」「個人の喜びが社会の財産に結び付いていることに気づくのも大切(キムラ)」と、まちを学ぶことの社会的な意義はどういうことなのか、それぞれの見解が繰り広げられました。


最後に山川さんと東海さんから、廿学に期待することを語っていただきました。

「地域内外でのオープンなつながりをつくってほしい(山川)」

「宮島の神事に参加し、実体験をふまえて宮島の魅力をレポートしてほしい(東海)」



まずは地元の人が自分のまちを深く知る。知ると誰かにその魅力を伝えたくなる。自分たちのまちをどう発信するか、またどう自分のまちが見られているのかという外からの視点も大事になってくる。


来年度の廿学の開催に向けて、たくさんのヒントをいただき、「廿学はさまざまな方が参加できるものでありたい、コロナ禍が落ち着いたら実際に先生に会える機会をつくりたい(佐藤)」「みんなと一緒に育てていく廿学でありたい(平尾)」「もっとプロモーションできるポテンシャルが廿日市市にはある(キムラ)」と今後の廿学の可能性を多く感じた時間となりました。



レポート:大田真奈 ■「廿学オンラインシンポジウム ~もっと、“ちょうどいい”廿日市市にするために~」

2021年2月20日(土)10:00~12:00  ゲスト:山川 肖美(広島修道大学人文学部教授、廿日市市教育委員会委員)

    東海東海右佐衛門 直柄(中国新聞社 西広島支局長)


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