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【冬のオンライン特別講座】「KENDAMAがつなぐ夢〜Yume.〜」~岩田知真先生~


冬のオンライン特別講座、授業の2コマ目は、株式会社イワタ木工の代表取締役である岩田知真(いわたかずま)さん。世界的な高級ブランドも認める、けん玉の新しい価値と、それを生み出すモチベーションとは?

キーワードは「世界観をつくる」。けん玉を通して突き進める、熱い思いを伺いました。



■けん玉との出会い

岩田さんは、廿日市市の峠地区(旧佐伯町)で生まれ育った生粋のはつかいちっこ。子どもの頃は、もっぱらスーパーファミコンやプレイステーションで遊んでいたそうです。


そんな岩田さんに転機が訪れたのは、大学3年生の時。廿日市市役所から「けん玉を作る企業がなくなってしまったので製作してほしい」と依頼があったことでした。


その時まで、けん玉が廿日市市発祥ということを知らず、ビジネス的な懸念から、当初はこの依頼にあまり乗り気ではなかったそう。


しかし、ちょうど廿日市商工会議所で開催された、けん玉の大会を見にいったとき、子どもたちが目を輝かせて技を競い合い、試合の勝敗で涙する場面に遭遇します。


その光景に心動かされた岩田さんは「質の良いけん玉でプレイして成功率を上げることで、モチベーション高く、自分ができないことにもチャレンジする精神をもってほしい。そのためにも、世の中にあるけん玉の中で、一番良いものを作ろう!」と、決意を固めます。




■「遊ぶ楽しさ」に立ち返る

けん玉の製造は、ろくろを使った高精度な技術が必要です。しかし、当時は1つ1000円以下でないと、けん玉のような伝統玩具は売れない時代だったため、一般的に売られていた大量生産のけん玉は、剣先が極端に短い、お皿がずれているなど、あまり良い品質のものがありませんでした。


そんな中、海外のストリートカルチャーシーンでのけん玉人気の高まりに伴い、「こんなに面白くて、すごい文化なのに、安く売りすぎじゃない?」という意見を聞いたことにより、岩田さんは新しいマーケットの可能性を見出しました。そこから世界にも目を向け、「宝物」のようなけん玉を作って、世界に発信し、幅広い層に知ってもらうプランを進めていきます。



■フランクミュラーも認める、けん玉の価値

4年前より、パリのメゾン・エ・オブジェ(世界最高峰のインテリア&デザインのトレードショー)にインテリアオブジェとしてけん玉を出展し、ろくろの技術やディテールの繊細さを発信、適切な価格を設定することで、徐々に新たなファンを獲得していきます。


その形状の美しさは、スイス高級機械式時計メーカー、フランクミュラーの目にも留まり、24金を入れた同社とのコラボけん玉を発表。「素晴らしいものづくりをすることによって、素晴らしい時間を素晴らしいもので過ごす」「飾っても美しくて、使っても使いやすい」というお互いのコンセプトが合致し、コラボレーションが結実しました。今年も第3弾を製作中で、チェスのように飾って美しく、機能的に使いやすいけん玉を実現しています。


あるコレクターの方は、「こんなにきれいなけん玉は、使うのがもったいない」と、観賞用と競技用に2本購入し、お酒を飲みながら目で楽しむのだとか。それを聞いた岩田さんは、自分が思い描いた以上の反応に鳥肌が立ったと言います。


多くの人に愛されるけん玉を作り、また新しい「世界観をつくる」という姿勢が、けん玉の価値を上げていく。世界とつながるような出来事が、ここ廿日市市で起きているということをみんなに知ってほしいという岩田さんの熱い思いを強くストレートな言葉で伝えてくれました。



■けん玉100周年とこれから

2021年は、廿日市市でけん玉の製造が開始されてから100周年。伝統産業と聞くと昔から変わらないものであり続けるという印象を受けるかもしれません。しかし、伝統をつないでいくためには、そのものの歴史をしっかりと伝えていくとともに、時代に合わせて価値を見極め、高め続けていく必要があるということを、岩田さんの言葉や姿勢から強く感じました。


イワタ木工が手掛ける、けん玉シリーズ「夢元無双(むげんむそう)」の名前の由来には、「けん玉は夢の元(はじまり)をつくる手段。そこでの成功体験を通して、皆がいろんなことに挑戦し、実現していってほしい」という思いが込められています。


それを自ら体現するイワタ木工は、今後も新たな海外展開、コラボレーションも進行中。岩田さんが、絶対的に住みやすい最強のまち!と称する廿日市の中山間地域(「ちいと山」)から広がる夢は、これからも続きます。



レポート:松田美紀


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